落柿 刈り入れも終わり畦は踏む人の影もなく
寂しそうに草も冬の訪れを待つ
車窓から見えるのは子供の頃あったようで
実は無くしてしまったのだけど遠ざかっていくレールがどこまでもずっと
もう戻れないんじゃないかって気分になる
家ごとに実った柿冬の前の恵み
ひとつ鳥がついばみ地面に転がる朝に凍てつき陽にゆるみ
ぐずりとなって静かに壊れた急いたよに虫たちは寄り
歩き回って種を残す
子は種を拾い上げ老いた手にそれを差し出す
懐かしき手のひらは種を握ったまま
土となり
また新しい芽生えを育てる会ったこともないけど古への人よ
この草の名を歌に詠んだ
花の名前をはるかな人への想いで満たした
何故だかは知らないけど古への人よ私はあなたと同じように
はるか人を想い胸を焦がしていますそしてあなたが歩いた景色とそっと手折られた野辺の花が
歌や花の名前として皆の口に上るように
私の唄のことばはこの景色と想いを留めて
例えここからなくなってしまってもいつまでも繰り返し赤い実を結ぶ
柿のように柿のようにまた後の誰かがこの想いを知ったとき
きっと同じような唄を唄っていてくれるようにCopyright (c) gotoisamu All rights reserved.